車体からタイヤがはみ出している状態、いわゆる「ハミタイ」は、これまで不正な改造として車検の対象外となっていましたが、2017年6月22日より、一部が解禁されることになりました。国土交通省が同日公布・適用した、車の技術的な基準を定める「保安基準」の一部改正によるものです。
▼2017年6月よりハミタイが緩和された部分
タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲であればはみ出しが許可される。
ハミタイ10mm未満まで解禁
これまでは、クルマのハンドルを直進方向にした際、タイヤの中心部から前方30度、後方50度の範囲において、タイヤやホイール、ホイールナット、センターキャップなどの回転部分が、直上にある車体より少しでも突出した場合、違法とされていました。
今回のいわゆる「ハミタイ一部解禁」は、クルマの製造年月日を問わず、これらの基準を一部緩和するというものです。同時に、自動車のマフラーの向きに関する基準も変更されました。
具体的に変わったこと
ハンドルを直進方向にした際、タイヤ中心部から前方30度、後方50度の範囲において、10mm未満であれば、はみ出しても許可されるようになりました。タイヤのリブ(タイヤの側面に設置された厚いゴムの突起)も改正により、突出部分と見なされなくなりました。
そもそもなぜ今までタイヤのはみ出しが禁止されていたのか?
安全性の観点から、歩行者やバイク・自転車など、ほかの交通の妨げになると考えられていたからです。
なぜ今回許可されることになったのか?
自動車基準の国際的な調和の観点からです。
タイヤではなく、ホイールがはみ出るのも許可されるのか?
今回許可の対象となったのはタイヤのみです。
マフラーの基準はどのように変わったのか?
1970年(昭和45年)以降、マフラーはクルマの中心(クルマを真上から見た状態で、前後方向の中心軸)に対して、左右30度の範囲内で取りつけることができましたが、今回の改正により、国際的な排出ガス規制の強化の観点から、基本的にどのような角度でも自由となりました。
国土交通省の担当部署によると、マフラーを取り付ける角度が緩和されたことについて、「かつてはマフラーの角度を横向きにすると、歩行者に直接排ガスがかかってしまい、害を与えると考えられていました。しかし現在では、排出ガスに含まれる有害物質の割合が大幅に減少し、無視できるレベルにまでなったこともあり、角度を規制する効果が生じなくなったため」とのこと。
海外メーカーの反応は?
一方これまで、本国と日本国内で基準が異なるために、タイヤのはみ出し対策として、その上部車体にカバー(フェンダーカバー、フェンダーモール)を装着し、国内仕様として販売を行ってきた海外メーカーは、今回の改正をどう捉えているのでしょうか。
BMWジャパンは「車種によって対応は異なりますが、フルモデルチェンジ・マイナーチェンジを行う際に都度対応していきます。当社ではカバーを本国ドイツで装着しているのですが、その工程でかかる、1台あたり約10秒の作業時間が削減されるため、メリットとして捉えています」と話しています。
一方トヨタには「アベンシス」などの逆輸入車がありますが、「改正されたばかりなので、社内で具体的な話はまだ出ていません」としています。
新燃費基準の「WLTCモード」に続き、今回の改正で、クルマの海外仕様と国内仕様の壁はまたひとつ減ることとなりました。
【参考】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170709-00010001-norimono-bus_all